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公判の推移

1、争点

 ①火災は自然発火の可能性は無いのか?

 ②犯行現場である隣の客室天井裏に比較以外が入る事は不可能なのか?

 

2、捜査(公判)資料で分かっている事実

 ①犯行現場には放火を裏付ける物証が皆無。

  消防の見分を取りまとめた火災現場報告書によれば助燃剤や石油系の類の成分も検出されていない。

 ②小千谷警察署鑑識の検証によれば被告が滞在していた客室から犯行現場とされる隣の客室天井裏までに被告が侵入したという

  痕跡(指紋、手袋痕、払拭痕)がいずれも発見されていない。

 ③現場検証の時点では電気的短絡痕が発見されず、捜査機関は電気的火災を否定していた。

  ところが後に現場から電気工事業者が撤去した電気配線を検証したところいくつかの電気的溶融痕が発見される。

  捜査機関は科捜研及び独立行政法人 製品評価技術基盤機構(通称nite)に評価を求めるがどちらの機関於いても1次痕、

  2次痕の判断は出来かねる回答を出す。

  そこで検察は科警研への照会を試みるも、やはり1次痕、2次痕の判断は出来ぬとの回答となる。

 ④火災により動作(落ちた)した分岐ブレーカーは自動精算機への電源供給をつかさどる回路。

 ⑤科捜研の検証により如何なる方法でも、火災現場にあったこぶし大の天井ボードの穴 は再現されない。

 

3、検察立証(訴因変更後)

 ①火災発生当日、現場の初期消火に当たったホテル従業員Sは当初(建造物侵入起訴公判証人時)、バックヤードから

  消火活動の為客室に入る際、火災現場客室へのドアを開けたが、センサーの記録と照らし合わせてドアが完全に閉まっていたか

  どうかは覚えていないと証言。

  この証言の意味は、同ドアが完全に閉まっている状態の時に開けると、管理コンピューターに「ドア開」の記録が残るが、

  半開きだった場合同センサーは反応せず記録も残らない。従って第三者がバックヤードから侵入しなかったという立証に

  至らなかった。

  しかしホテル従業員S証人はその後検事からの聞き取り於いて証言を変節し、訴因変更後二度目の証言の際、このドアは確実に閉

  まっていたと証言を180度変えてきた。(検察のおぜん立てしたストーリーに沿った証言に変わる)

 ②火災現場報告書を作成した消防士渡邉証人は同報告書に於いて、火災現場近くに開いたこぶし大の天井ボードの焼損穴は火災現場

  の堆積物が燻る事により起きた現象と結論付けていた。

  ところがその後検事からの聞き取り於いては、その穴は火災現場の堆積物で起こり得るのか疑問に思い、後日訓練塔で

  ガスバーナーや着火剤を燃やして試したところ、10分程度の燃焼と消火用の水をかけたところ、火災現場と同様の穴が開いたと

  証言をし、結論としては人為的に高温の何かで継続的に炙ったものと証言を変節させた。

  さらに焼けの強い敷き梁北側を出火現場と断定、その直上にあるバス関連機器からの出火は延焼経路から強く否定した。

 ③火災現場ホテルの電気配線回収を施工した電気工事士を証人に呼び、同証人から火災

  発生の数年前に全ての電気配線を新品に変えたので電気火災などあり得ない、配線が短絡した場合漏電ブレーカーにより

  保護されているのでやはり電気火災等起き得ないと証言。

  さらに漏電ブレーカーは30mAの漏電を感知すると0.1秒以内に動作するとも補足説明をして電気火災の可能性を否定した。

 ④火災現場の初期消火を従業員S証人と行った同従業員U証人は火災を認知して建物内に入ろうとした際、玄関の引き戸が堆く積もった

  積雪で簡単に開けられず、足で蹴散らして入った。

  その周囲に足跡らしきものは無かったと証言。

  第三者が建物内に別ルートで侵入する事は不可能と立証を試みる。

 

4、判決事実認定

 ①従業員S証人は最初から客室ドアの半開きだったかどうかの記憶が当初曖昧だったものが、検事からの聞き取り後、一転して最初から

  言えたはずの証言が時間を経過した後に記憶が鮮明となる不自然な証言に終始していたが、裁判所は後の証言に矛盾は無いとして

  事実認定。

 ②消防士渡邉証人は長年の経験からその証言は信用に値する。従って天井ボードに開いた穴は継続的に高温にさらされた人為的な

  ものであり、その方法は分からないが放火の行為の一旦であると認定。

  さらに敷梁北側の焼けが強くそこを放火現場と認定、その実行行為は明らかではないが、何らかの方法として事実認定。

 ③電気工事士I証人は長年同職に就き、施工にも細心の注意を払い、施工ミスは認められない。また目視とはいえ天井裏の

  電気配線を確認しているので、その異常が認められない事、漏電ブレーカー、分岐ブレーカーで電気回路が保護されている事から

  電気火災の可能性は認められない。

 ④ホテルオーナーH証人の証言に於いて、バス機器関連ボックスには漏電ブレーカーが存在する、また消防士渡邉証言からも

  同関連機器からの出火は考えにくい。

 

5、事実認定の誤認

 ①火災現場から電気的溶融痕が発見されているが、電気工事士の証言(配線が新しい、ブレーカーで回路は保護されている)、及びかかる0.1~0.2A程度の微弱な電流では電気的火災は発生しないと結論付けているが、弁護側が実証を試みたところ、通電状態で電気的短絡が起こった場合、漏電ブレーカーは動作することなく周囲の埃を発火させている。

  通電状態と言ってもLED電球を点灯させるだけの0.1mA以下の微弱な電流であり、短絡時には回路がショートするので瞬間的に

  70A以上もの大きな電流が流れているのが電流計により計測されているがブレーカーは動作する事は無かった。(DVDに記録あり)

  上記立証は火災ホテルが使用していた漏電ブレーカー製造の日東工業技術資料によって裏付けされており、同性能評価はJIS

  (日本工業規格)に準じている。

  然しながらこれら弁護側の証拠は一審、高裁共に全て棄却され、客観的事実を無視した証人の証言が採用されると言う有り得ない

  公判指揮に終始して判決に及んでいる。

 ②本来消防士渡邉証人が取りまとめた火災現場報告書が真実に近く、後に証人として出廷した際に証言した内容は同報告書から

  大きく逸れる内容に変節している。

  大別すると2点に集約される。

  先ず火元の特定。

  渡邉消防士は焼けの強い敷梁北側を火元と断定している。

  さらに延焼経路の観点より、上部バス関連機器からの出火の場合、そこから火が上部にまわり下部の焼けがこれほど強くなるとは

  考えられないと考察している。

  然しながら弁護側が火災現場の図面を元に忠実に再現してバス関連機器を燃焼させたところ、出火から数分で樹脂製電気ボックス

  は溶解し敷梁近くに落下。

  電気ボックスが取り付けてあった合板は煤ける事はあっても延焼する事なく残り、敷梁付近で燃え続け、2次的に上部に延焼する事

  が判明した。(DVDに記録あり)

  電気ボックスからの出火の場合、上部への延焼をすることなく、ボックス自体が下部に落下する事は捜査初期段階に科捜研での

  再現実験で既に立証されており、消防士渡邉証言はこの事実と照らし合わせも間違った推測をした事になる。

  しかしこれら弁護側の証拠は全て棄却されている。

  付け加えるに、タイミングの関係で証拠提出には至っていないが、火元とされる敷梁が判決の通りであれば何らかの方法で

  放火した後、敷梁そのものが燃え続けなければ延焼に至らないのではないかと思うに至り、これも火災現場報告書に添付

  されている図面を元に忠実に現場を再現し、事件当日に被告が持参したリュックに収まり、尚且つ継続的に高温を発せられるで

  あろうガスバーナーで着火を試みたところ、密度、質量の大きな敷梁はすり鉢状に炭化する事はあっても、梁自体が燃える事は

  無く、逆に輻射熱でボンベが高温に熱せられ爆発の危険がある程熱くなる事も分かった。

  結論は被告が滞在した時間内でガスバーナーのように継続的に高温を発せられる物であっても、火元とされる敷梁を燃やす事は

  物理的に不可能である事が立証された。

  上記証拠はこれまで裁判所に提出される事無く、これこそが被告が無実である動かざる明らかな事実となり得る

  次に渡邉消防士が人為的に加熱されて開いた穴だと火災現場報告書の内容から一転した証言であるが、彼は後日この事に疑問を

  抱き訓練棟でガスバーナーや着火剤の類で天井ボードを熱し、初期消火の時のように加熱した部分に水をかけたら簡単に穴が

  開いたと証言をしている。

  然しながら、この証言は証言だけであり、行った実験の詳細は一度も明らかにされていない。

  しかも、如何なる人為的な方法でも火災現場と同様の穴が開かない事は科捜研での検証でも証明されている。

  弁護側としても渡邉証人の証言の真意を明らかにすべく、彼の証言に沿った条件で同じ実証を試みた。結果如何なる方法でも

  天井ボードに穴が開く事は無かった。(DVDあり)

  この実験結果は担当弁護士の思慮によりこれまで証拠提出していないが、他の実証と併せても天井ボードの穴は人為的なものでは

  なく、火災現場で燃えていた電源ボックスや基板、木くず等が燻る続けた事により起きた現象であることは明らかであるが、

  裁判所はこの事実を全ての証拠を棄却する事により抹殺してしまったのである。

 ③現場を施工した電気工事士の証言を引き出すことにより、如何なる電気的火災は起き得ない、その様な検察立証趣旨がそのまま

  事実認定としてされている。

  1)如何なる微弱な電流であっても、電気的短絡が起こった場合、その部分から大きな電流が流れ周囲に火花を散らし発火の

   原因になる。

   その際、漏電ブレーカーは必ず動作する訳でなく、定格電流の3倍以上も流れたとしても直ちに回路を遮断、保護する事は

   無かった。(DVDあり)

   これも漏電ブレーカーメーカー日東工業技術資料、そのベースとなるJIS規格に於いても、そしてその様子を動画撮影に

   成功した証拠に於いても、全て証人の証言が認識不足、知識不足である事は明らかである。

   同証人が証言をした「電気的短絡が起きても30mAの微弱電流が流れれば0.1秒以内に漏電ブレーカーは動作する」は漏電の中の

   地絡(人体が感電する可能性の高い状態)に限った動作であり、本事件で問われている短絡と混同している事を鑑みても

   証人としての資質に欠ける証言に終始している事は明らかである。

  2)事件から遡り数年前に電気配線を全て交換したので電気的火災は起き得ない、としていたが、一方では火災の際、動作が確認

   された自動精算機の配線系統は別の業者が施工したもので、同配線は平成14年から一度も変更が加えられていないとも証言

   をしている。

   検察は分岐ブレーカーが落ちていた同電気回路が重要だと述べ、0.1A程度の微弱電流では電気的火災は起こり得ないと

   その立証趣旨を説明しているが、同配線工事に証人が関わる事は一度も無く、あくまでも自前の工事の際に目視で確認した

   程度であり、施工から10年以上も使われている配線が電気工事士の証言により真新しい配線と心証付ける事を企てている事も

   裁判所は一切加味していない。

   さらには火災現場のホテルは創業してから30年以上も経っており、その当時からの電気配線を現在も多く使い、目視では

   見えにくい経路も通っている。

   この点も真新しい電気配線と言う印象付けに何ら疑問を持たず、安易に証人の証言を経験豊かな電気工事士だからと鵜呑みに

   している裁判所の判断は悉く現実離れしている。

 ④電気工事士及び消防士、両名の証人はトラッキング現象の様な軽微な電気的短絡状態では漏電ブレーカーは動作しないと

  言及している。

  ところが裁判所の事実認定によれば、バス関連機器の電気ボックス内には微弱な電気しか回路に流れず、尚且つ漏電ブレーカーが

  備わっているので回路は保護され電気的火災は起き得ない、とのH(被害者)証言を採用し、また消防士が同所からの出火を

  強く否定した事を事実認定として採用をした。

  然しながら火災現場に設置されていたバス関連機器コントロールボックスと同型機を入手し、消防士も否定しなかった昆虫の尿

  に見立てた20%アンモニア水溶液を電源供給のソケット部分に流し込んだところ、トラッキング現象から発煙を伴うスパークが

  起きたが、ボックス内に装備されていた漏電ブレーカーは一切動作しなかった。

  この事実を踏まえ、火災現場に忠実な再現セットを火災現場報告書添付図面を元に作り、前述実証と同様に回路に

  20%アンモニア水溶液流し込んだところ数分後に出火し、上部に延焼する前に敷梁近くに落下、その後2次的に上部合板に

  延焼して行く様子を記録す事に成功し証拠として採用を求めるも、これら全ての証拠を裁判所は棄却し、客観的且つ科学的に

  立証されている事実を黙殺し、事実と大きくかけ離れた事実認定に終始し、無実の人間に対し無罪を判断する機会を故意に

  潰したと言わざるを得ない。

 

  ⑤さらには被告を不利な立場に陥れる為、被害者であるホテルオーナーHはじめ従業員は偽証の可能性が疑わしく、そしてH証人に至

   っては自らの偽証の辻褄を合せる為に平然と偽装工作まで企てた可能性が非常に高いと言わざるを得ない。

   これらの事実を弁護側は全て立証した証拠の採用を求めたが裁判所は悉く棄却。

   被害者の証言は真実で、被告の証言は不自然不合理と決めつける事実認定を行った。 

   司法の崩壊であり、真実を明らかにする場である裁判所が、検察、判事らのエゴを押し通す場に成り下がっている現実を

   誰も修正する術もなく、全く事実とはかけ離れた事実認定を行い、歪曲した訴訟指揮に至る判事たちが、この世に多くの

   冤罪を生み出している事実を、この事件を通しても知らしめなければならない。

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