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9 中継アンテナ

【争点】
 この裁判では被害者サイドの偽証の疑いがあまりにも多く、それを裁判所が盲目のままスルーしてしまっている事が特徴的であった。中でも本件火災ホテルオーナーH証人の偽証の疑いが酷すぎる。
 従業員と口裏を合わせての偽証の疑いは既に紹介した通りであるが、反対尋問においては自らが警察に対して供述を行い、読み聞かせの後に署名押印した調書の内容さえ、証言の時には全く違うことをまくし立てる始末であった。それでも裁判所は証言の方を採用し、調書を全くもって無視するとこに終始しており、それであれば調書とは一体何の意味があるのだろうかと首を傾げるばかりであった。
 同人の偽証の疑いが最大限にあわらされたのは内線電話の中継器の件であった。被告人は火災発生をホテルフロントマンに知らせるために内線電話をかけた。然しながら呼び出し音は鳴れども誰も出ない。後に判明したことだが、当時フロントに従事していたS証人は、除雪のため国道を挟んだ系列ホテル重機格納庫近くにいた。フロントには内線の親機が設置されており、S証人は子機を持ち歩き対応していたという。
 被告人は間違いなくフロントに架電をした。しかし事件後相当の時間が経ってから警察は親機の履歴を調べたがメモリーされていたのは20件だけであり、それ以上の過去の履歴は上書きされていて被告人の主張を裏付ける事が出来なかった。そこで検事はS証人に聞き取りを行い、当時子機には被告人が滞在していた103号室からの着信履歴は無かったと証言を引き出した。しかしこれは証言だけで裏付ける証拠は何一つ押収されていない。
 そこで我々は内線電話メーカーであるナカヨ電子に照会をかけた。内線システムの型式、現場の見取図、建物の立地状況、それらを加味して事件発生当時の位置関係から子機は親機との通信エリア外に存在していたとの回答を得られた。つまり被告人がフロントに架電していたとしても、親機は呼び出しに応じ、着信履歴も残り、子機は圏外にいた為に呼び出しも着信履歴も残らなかった、これが真相であった。
 この事実を裁判の中で明らかにしたところ、オーナーH証人は「中継アンテナを設置しているから子機が圏外になるなどあり得ない」と証言をした。反対尋問で「では中継アンテナはどこに設置されているのか?」との問いに曖昧な答えに終始していた。
 後日オーナーHが撮影したとされる写真が証拠として提出された。そこにはたしかに中継アンテナらしきものが存在していた。そしてそれは中越地震(平成16年10月23日発生)の後には存在していたと記されている。しかしそんな都合の良い話があるものだろうか?我々は疑念を抱いた。

検察が示した証拠写真の再現

※裁判所はこの件での甲号証(検察証拠)及び弁号証(弁護人証拠)双方の採用を棄却した。よって甲号証の状況は平成29年に至っても同じである事からそれをもって再現をした写真を掲載する。
 これを受けて弁護人はGoogleストリートビューを解析したところ、事件発生1ヶ月前(平成24年11月)の段階においては中継アンテナなど存在しない事が判明した。つまりオーナーH証人は自らの偽証を正当化するために偽装工作まで企て、検察をも騙してまで被告人を陥れようとしていたのだ。

弁護人提示Googleストリートビュー写真

 被告弁護人はこの事実を明らかにし、被害者が偽証だけでなく偽装工作までをも企てているこの状況で裁判をこのまま進行することには承服できないと強く申し入れた。
 しかし裁判所はウルトラCの対応をしてきた。被告人が犯人であっても被災者を装い内線電話をかけてくる事もあり得る。したがって被告人がフロントに架電したしないは争点ではない、として検察、弁護側双方の証拠を棄却したのである。
​ これにより被害者となるオーナーHの偽証とそれを隠蔽する為の偽装工作の事実を裁判所は黙殺するという暴挙に出たのであった。そこまでして有罪を導きたいのかと怒りが込み上げてきた事を今でも忘れない。

検察及び弁護人証拠写真比較

ホテルオーナーH証言と証拠写真の時系列と矛盾
オーナーH証言:中越地震発生後(平成16年10月23日)に国道向かいのホテルを買収した事から従業員が双方を行き来することもあり、国道をはさんでも客への対応が出来るようにフロント電話子機の中継アンテナを設置したが場所までは不明。
(Googleストリートビューの撮影記録日:平成24年11月
​ ※事件発生1ヶ月前にはオーナーH証言であるはずの中継アンテナは存在しない
事件発生日時:平成24年12月20日
​ホテルオーナーHが主張している中継アンテナが撮影された証拠写真撮影日:平成26年12月15日
証言と証拠の時系列から読み解けること
事件発生当時、ホテルオーナーH証言にあるようなフロント電話子機の中継アンテナは存在していなかった可能性が高い。当時子機を持って国道向かいのFホテル重機格納庫に出向いていた従業員Sとフロント電話親機は100M以上も離れており、しかも中間にビル型建物の遮蔽物まであったことから、内線電話メーカー技術者が回答したように、親機と子機は通信圏外にあった事がうかがえる。
然しながらオーナーHは被告人を犯人としての印象付けを強めようと被告人がさも虚偽の供述をしているかのように自らが率先して偽証を行い、その偽証を正当化すべ公判中に偽装工作の工事までをも行い、検察を騙すことも厭わない行動に出た事が明らかとなった。
ところが検察はオーナーHの記憶違いだったと全く別の証拠を用意するという呆れた算段を行い始め、裁判官はこれ自体を争点として取り扱わず、オーナーH証言の信ぴょう性対する審理は触れられることすら無かった。
被害者が偽証、偽装工作を行う必要性、必然性とは何か?
これだけ明らかな証拠があるにも関わらず、オーナーHの証言は全て採用されるという信じられない訴訟指揮に邁進する裁判官たち。
刑事訴訟は被告人に不利なのではなく、立証する機会を裁判所が意図的に奪っていると強く訴えたい!
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