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用語解説
・起訴
訴えを提起すること、すなわち、裁判所に対し申立人(検察官、原告)の請求について判決をするよう法定の手続に従って求めることをいう。
刑事訴訟における検察官による「公訴の提起」を指して用いられることが多い。また公訴の提起は検察官に与えられた権利。
・不起訴
刑事訴訟法248条により検察官は、事件について公訴を提起しないことができる。これを不起訴処分と言う。(この処分における裁定についての区分は事件事務規程75条2項に記載されており、以下の様になっている。)
(1) 被疑者死亡
被疑者が死亡したとき。
(2) 法人等消滅
被疑者である法人又は処罰の対象となるべき団体等が消滅したとき。
(3) 裁判権なし
被疑事件が我が国の裁判管轄に属しないとき。
(4) 第1次裁判権なし・不行使
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和35年条約第7号),日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書(昭和28年条約第28号)若しくは日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定(昭和29年条約第12号)に基づき,我が国に第1次裁判権がないとき,又は前3号若しくは次号から第20号までのいずれかに該当する場合を除き我が国が第1次裁判権を行使しないとき(第1次裁判権を放棄したときを含む。)。
(5) 親告罪の告訴・告発・請求の欠如・無効・取消し
親告罪又は告発若しくは請求をまって論ずべき罪につき,告訴,告発若しくは請求がなかったとき,無効であったとき又は取り消されたとき。
(6) 通告欠如
道路交通法(昭和35年法律第105号)第130条の規定により公訴を提起することができないとき,又は同条の規定により家庭裁判所の審判に付することができないとき。
(7) 反則金納付済み
道路交通法第128条第2項の規定により公訴を提起することができないとき又は同項(第130条の2第3項において準用する場合を含む。)の規定により家庭裁判所の審判に付することができないとき。
(8) 確定判決あり
同一事実につき既に既判力のある判決があるとき。
(9) 保護処分済み
同一事実につき既に少年法第24条第1項の保護処分がなされているとき。
(10) 起訴済み
同一事実につき既に公訴が提起されているとき(公訴の取消しがなされている場合を含む。)。ただし,第8号に該当する場合を除く。
(11) 刑の廃止
犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。
(12) 大赦
被疑事実が大赦に係る罪であるとき。
(13) 時効完成
公訴の時効が完成したとき。
(14) 刑事未成年
被疑者が犯罪時14歳に満たないとき。
(15) 心神喪失
被疑者が犯罪時心神喪失であったとき。
(16) 罪とならず
被疑事実が犯罪構成要件に該当しないとき,又は犯罪の成立を阻却する事由のあることが証拠上明確なとき。ただし,前2号に該当する場合を除く。
(17) 嫌疑なし
被疑事実につき,被疑者がその行為者でないことが明白なとき,又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なとき。
(18) 嫌疑不十分
被疑事実につき,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なとき。
(19) 刑の免除
被疑事実が明白な場合において,法律上刑が免除されるべきとき。
(20) 起訴猶予
被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき。
※事実上(15)~(20)に該当するケースが多い。本件では(18)嫌疑不十分で非現住建造物放火が不起訴処分となっている。
・在宅起訴
被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないため、被疑者を拘置所や警察の留置施設に勾留することなく、検察官が公訴を提起すること。
※本件においては逮捕・拘留による約3週間の身柄拘束はあったが建造物侵入により在宅起訴されている。従って被告人は自宅から出廷をしている。
・訴因変更
検察官が公判の途中で、起訴状に記載した事実の範囲内で該当する罪名を変更したり追加したりすること。裁判所は訴因に対してしか判断できないが、刑事訴訟法は、審理の経過をみて適当と認めたときには検察官に訴因変更を命じられると定めている。例えば、ほかの訴因に変更すれば明らかに有罪なのに、検察官の主張する訴因のままだと無罪になると判断した場合などに変更を命じるケースなどが想定されている。ただし、検察官は命令に従わなくても構わないとされる。
・合議制裁判
複数の裁判官によって構成される合議制の裁判。最高裁判所(大法廷15人・小法廷5人)・高等裁判所では常に、地方裁判所・家庭裁判所では場合によって合議制をとる。下級裁判所での員数は3人を原則とする。
※本件においては第1回~4回公判(建造物侵入罪)までは単独裁判であり、ひな壇に裁判官1名、書記官1名、向かって左に検事1名、右に弁護人1名、中央に被告人1名で公判が進められていた。
訴因変更後の第5回公判から合議制となり納屋肇裁判長がひな壇中央に陣取り、これまで担当していた裁判官は左端に座っていた。また検察席には当初から担当していた渡邉副検事の横に北村隆正検事が座るようになり、第6回公判からは渡邉副検事は姿を消した。
何か事ある毎に「合議します」と言ってひな壇後ろの部屋に入るが、ものの1分で姿を現し、基本的には弁護側の証拠をことごとく棄却した姿が印象的だった。
・冒頭陳述
刑事訴訟の公判手続において,検察官が証拠調べの初めに行うべき陳述。証拠によって証明しようとする事実を明らかにするために行われるものである (刑事訴訟法 296) 。実際には起訴状の内容を敷延し,事件の具体的な経過が主張されることが多い。ただし,証拠とされることが期待できない資料に基づいて,裁判所に偏見,予断をいだかせるおそれのある事項を述べてはならない (296条但書) 。
・非現住建造物放火罪
人の住居に使用していないまたは人の現在しない建造物,艦船,鉱坑に対する放火は,2年以上の有期懲役に処せられる。それが自己の所有物であるときは,公共の危険が発生した場合に限り,6ヵ月以上7年以下の懲役に処せられる。
・現住建造物放火罪
人の住居に使用しまたは人の現在する建造物,汽車,電車,艦船,鉱坑に対する放火は,死刑,無期もしくは5年以上の懲役に処せられる。
・裁判員裁判
抽選で選ばれた一般市民が「裁判員」となって、裁判官と一緒に刑事被告人が有罪であるか否か、どれくらいの刑を課すべきかを決める制度。
※裁判員裁判が行われる事件の一例
殺人(人を殺した場合)
強盗致死傷(強盗が、人にけがをさせ、あるいは、死亡させてしまった場合)※強盗罪は裁判員裁判の対象ではありません。
傷害致死(人にけがをさせ、死亡させてしまった場合)
危険運転致死(泥酔した状態で、自動車を運転して人をひき、死亡させてしまった場合など)
現住建造物等放火(人の住む家に放火した場合)
覚せい剤取締法違反(財産上の利益を得る目的で覚せい剤を密輸入した場合など)
・証人
刑事被告事件の公判審理のために裁判所または裁判官の面前で,尋問された事項につき自己の体験した事実に基づいて供述する第三者をいう。担当の裁判官,公判立会いの検察官,弁護人,被告人などは証人とはなりえず,鑑定人とも区別される。証人は原則として出頭,宣誓,証言の各義務を負うが,公務員については職務上の秘密保持のため監督官庁の承諾がなければ証人として尋問できない。また自己または近親者が刑事訴追を受け,有罪判決を受けるおそれのある事項について,および医師,弁護士など特殊な業務の者は業務上の秘密事項につき証言拒絶権が認められている。証人は人的証拠として最も重要なものであるから,被告人はすべての証人に対して審問する機会を十分に与えられ,公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を保障されている。
※本件公判においては裁判長の訴訟指揮権が異常に強く、弁護側の証人申請は全て棄却されている。
・短絡
電気回路で、電位差のある二点間をきわめて抵抗の小さい導体で接続すること。また、絶縁が破れて、抵抗の小さい回路ができること。ショート。「短絡事故」
・地絡
① 電気回路や装置の適当な所で大地につなぐこと。アース。
②事故などによって、装置などに大地との電気的接続が生じること。
※短絡と大別するため通常は「漏電」と呼称することが多い。
・短絡痕(溶融痕)
電気配線類は、絶縁被覆といって電気を通しにくい塩化ビニールやゴムなどを巻いて中の導線同士が接触しショートするのを防止した構造になっている。
ところが被覆が損傷したり、熱により焼失した場合、導線同士が接触してしまいショートが発生し、その部位に球形の痕ができる。これを、電気痕やショート痕、短絡痕と呼んでいる。この現象は、火災の原因ともなり通電していた立証ともなる。
・Nite(独立行政法人製品評価技術基盤機構)
電気製品、燃焼機具、乳幼児製品、レジャー用品などの消費生活用製品の事故について、メーカーからの報告や消費者からの通報などを基に情報を収集し、原因究明にあたる独立行政法人。2001年(平成13)4月に発足した。英語ではNational Institute of Technology and Evaluation、略称NITEと表記する。製品の安全性テストや法律に基づくメーカーへの立入検査も実施している。ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事件やシュレッダーによる指切断事件が社会問題化したため、2007年から、欠陥により人的被害が起きるおそれがある製品の最新情報(事故日、品名、事故内容、被害状況など)を毎週、ホームページで公表し、情報を社会的に共有して事故防止につなげる機能を担うようになった。
1928年(昭和3)にできた商工省輸出絹織物検査所、1940年設立の輸出毛織物検査所、1943年設立の試薬検査所、日用品検査所、1948年設立の機械器具検査所の5検査所が前身である。1973年の消費生活用製品安全法の制定を受けて、従来からの輸出検査技術などを生かして、製品の安全性や事故原因などを調べるテスト業務を開始した。事故情報収集・安全性テストのほかに、化学物質の総合管理、計量器などの認証機関の認定、微生物などの生物遺伝資源の保存と解析・活用などの業務も実施している。
※本件においては現場から撤去した電気配線を領置した警察から短絡痕の鑑定を受けている。
・科捜研
科学捜査研究所とは、日本の警視庁及び道府県警察本部の刑事部に設置される研究機関。略称は科捜研(かそうけん)。
※本件においては天井ボードの局所的炭化の部分の再現実験を実施している。
・科警研
警察庁の附属機関の一つとして設置された中央官庁。科学捜査・犯罪防止・交通警察に関する研究・実験を行うとともに、警察内外の関係機関から依頼された証拠物等の科学的鑑識・検査を行うことを主な任務とする。警察庁長官の命を受け、科学警察研究所長が所務を掌理する。大学との研究連携も活発である。
※本件では現場から撤去した電気配線を領置後、同機関が短絡痕の鑑定を行っている。
・一次痕、二次痕
出火原因となったと考えられる短絡痕を「一次痕」と呼び、その他を「二次痕」と呼ぶが、どれが一次痕かを判別するのは、火災原因を推定する上でも非常に重要になる。
一次痕と二次痕には、外観的な違いがあると言われているが、外観の観察だけでは判別しにくいケースもかなり多いことが分かり、最近は顕微鏡等を用いた電気コード内部の観察が重要視されている。
・トラッキング現象
にほこりが付着し、湿気を帯びて漏電・発火すること。プラグを長期間差し込んだままにしたり、結露する窓の近くなど水気の多い場所で使用する場合に起こりやすい。
・グロー現象
接続部分が緩くなり、電流の断続を繰り返していると、ある瞬間から接続箇所でのゆるみや接続不良から接続部で電流の断続が起こり、微弱な電流でも異常なほどの熱を発生させ、電気火災の原因となる。
また、このグロー現象は、漏電のような保護装置では防止できないので、常に接続部等の熱の発生に注意が必要。
・分岐ブレーカー(配線用遮断器)
建築内で使用する電力をコントロールする為の、配線用遮断器の事。過負荷や短絡などの要因で二次側の回路に異常な電流が流れたときに電路を開放し、一次側からの電源供給を遮断することにより負荷回路や電線を損傷から回避するために用いる装置。
※主に配線や接続機器への過電流保護が目的。
・漏電ブレーカー(漏電遮断器)
電気回路の絶縁が低下し、火災や感電の危険が発生したとき、回路を自動的に遮断する装置。主として400ボルト以下の低電圧回路に使用される。低電圧用の電線はビニルやゴムなどの絶縁性の高い物質(絶縁物)で覆われているため、電流は電線のみを通って流れ、ほかに漏れることはない。しかし、絶縁物が劣化して絶縁性能が低下すると、電流は電線のみを流れず、絶縁物から漏れ出すようになる。このような現象が漏電であり、電気火災や感電の原因となる。漏電遮断器の動作原理は、過電流遮断方式や電圧動作方式などがあるが、現在日本でもっとも多く採用されている方式は電流動作方式である。この方式は漏電のため各線の電流が不平衡になったとき動作するものである。30ミリアンペア程度以上の漏電電流が発生すれば動作し、動作時間も0.1秒以内ときわめて高速であるため、たとえ感電しても人命に危険は生じないとされている。
※主に漏電による人体への感電事故を防ぐこと、電気火災の保護が目的。
・VVFケーブル
VVFケーブルとは、( Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable )の頭文字をとったケーブルの名称であり「600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形」のケーブルである。ビニル被覆の外側をビニルシースで覆っただけの単純構造である。
VVFケーブルは、低圧屋内配線で非常に多く使用される電線であり、15A程度までの照明・コンセント回路への電源供給用ケーブルとして普及している。
VVFケーブルは、1.6mm、2.0mm、2.6mmが生産されており、1.6mm及び2.0mmのVVFケーブルが広く使用されている。
※VVFに許容電流は1.6mm⇒18A、2.0mm⇒23A。従って1.6mmの場合15Aブレーカー、2.0mmの場合20Aブレーカーが接続される。
・伝聞
(直接当人からではなく)ほかの人から伝え聞くこと。また、聞いたこと。またぎき。
※本件ではブレーカーメーカ日東工業関係者の証人出廷の承諾が得られず、提供を受けたブレーカーの動作特性曲線を理解し、被告人主尋問の際に検事から「伝聞」だと横槍が入った。弁護人は「被告人は自ら同資料を理解した上で話している」、と反論したが納屋肇裁判長は検事の異議を認め、この部分の主尋問をさせなかった。
・論告・求刑
刑事訴訟における公判期日の手続は,冒頭手続・証拠調べを経て弁論へと進む。すなわち,証拠調べの結果に基づいて,まず検察側が,ついで弁護側が,事実上・法律上の意見を述べる段階となる(刑事訴訟法293条)。ここで検察官の行う意見陳述を,とくに論告と呼ぶ。その内容は,通常,被告人が有罪であることを説くものであり,それに伴って量刑についての意見(求刑)も述べられる。求刑を行うことは,とくに法が要求しているわけではないが,実務の慣行となっている。
・最終弁論
刑事事件の公判で、証拠調べが終わったあとになされる弁護人の意見陳述。
・判決
民事および刑事の訴訟について,裁判所の行なう裁判の一種。日本国憲法が,判決は必ず公開の法廷で行なうべきことを要求している (82条) ことから考えて,憲法にいう「判決」とは,当事者の申し立てに対する本質的な判断を意味するものと解され,訴訟法にいわれる「判決」がそれに相応するものと考えられる。
刑事訴訟においては,判決は公判廷で宣告により告知すれば足りる (刑事訴訟法) 。ある訴訟について判決がなされ,その判決が当該訴訟手続内で取り消される可能性がなくなった場合,すなわち,その判決に対し所定の期間内に上訴がなされなかったか,あるいは上訴の手段が尽きた場合,その判決を確定判決と呼ぶ。
・納谷肇(元裁判官)
訴因変更後、合議制となってから裁判長として訴訟指揮を取ってきた裁判官。「棄却屋」との異名をもつ彼は、刑事訴訟においては被告人には不利に、民事訴訟においては原告に不利になるような訴訟指揮を取る傾向が強い。納谷肇は開廷後5分も経たずに眠りにつき、閉廷ギリギリまで居眠りを決め込む。従って検事が「伝聞だ」と言い放ったときには話についてこれず、隣の裁判官にどこまで審理が進んでいるのかを確かめるほどであった。被害者側の偽証と偽装工作が酷過ぎ、弁護人がこのままの状況で公判を進められないと裁判所に申し立てた時も、あの手この手で被告人質問の期日を強引に年度内で収まるように取決め、判決文を書きはしたものの、本人は新年度から東京高裁民事部に移動し、判決読み上げは新任の裁判長に代読させるというとにかく出鱈目三昧な指揮を執り続けた男である。その後1年少々で高裁判事を退官をしている。
普通に生活をしていると裁判所とはあまり関わり合うこともありません。
従って裁判、特に刑事訴訟においては聞きなれない用語もいくつか出てきます。
法律には素人の私共ですが、出来るだけ分かりやすく用語解説をさせて頂きます。
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