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5 物質の特定

小千谷警察署鑑識係酒井証人作成実況見分調書及び小千谷消防渡邉証人作成火災報告書どちらにおいても、火災現場から石油系、ガソリンその他助燃剤の類は検出されなかったと結論づけられている。
ところが両証人は証言の段階でアルコール系着火剤であれば、痕跡を残さず火を放つことは可能だと証言をした。実況見分調書及び火災報告書の調書を隅々まで調べたが、助燃材の検出方法は一切触れられておらず、灯油やガソリンの臭いはしなかったという、人間の五感のみで判断している。
さらには警察、消防ともに火災現場の残焼物を一切押収しておらず、残焼物の捜査は全くされていない。
現在の科学捜査が確立されている中で、残焼物から何かしらの痕跡を探るのは初動捜査としては必須であり、これを警察、消防ともに怠るということは端から放火と決めつけていることが思慮される。
然しながら裁判所は、この重要な部分を黙殺をして、「何らかの方法」とだけ言及し、実行行為を特定することなく判決を導いた事実がある。
我々の調査の結果、火災現場で放火が疑われる場合に、2つの検知方法が既に確立されている。
​この方法を使えば、微量な残焼物であっても、科学的に助燃剤の有無、その成分まで詳細に検知が出来る。

北側式ガス検知管

上記PDFは京都市消防局の報告書になる。
これは火災現場で放火が疑われた場合に石油系などの燃料が使われたかを簡易的に検知方法であり、全国の消防本部で採用されている最も普及している方法である。
その方法は分かりやすく説明すると、酒気帯び運転が疑われた際に、警察が呼気中のアルコール濃度を測定する方法があるが、あれに似ていると思って頂ければ良い。
​本件事件においては北側式ガス検知管による捜査、調査が行われたという記録は一切ない。

ガス・クロマトグラフ

上記PDFは消防技術安全所報45号(平成20年)の報告書である。
火災現場で放火が疑われた場合に石油系などの燃料が使われたかを簡易的に検知方法である北側式ガス検知管による検出が至らなかった場合に、残焼物から微量でも助燃剤を検出できる画期的かつ科学的な方法である。
当然の事であるが揮発性の高いアルコール燃焼系着火剤(主に主成分はメタノール)が使われたしてもたちどころに検知が可能なのである。
従って小千谷警察署鑑識係酒井証人及び小千谷消防渡邊証人が証言で言い放った、「アルコール系着火剤であれば、何ら痕跡を残さずに本件放火を行うことが出来る」とした内容は事実に反する。もしくはあまりにも科学捜査に対して無知すぎると言わざるを得ない。​
両検知方法は少なくとも本件事件発生の平成24年以前に確立されている。警察、消防ともに火災現場の残焼物を押収、保管を一切していない。今となっては科学的な捜査を行うことも出来ないという、あまりにもお粗末な初動捜査であると断罪すべきである。
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