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8 火災建物入口

【争点】
 我々は客室ドアのトリックを見破った。第三者犯行説の可能性があるとするならば、防犯カメラの死角から事件発生ホテル建物内に侵入できる方法を明らかにしなければならない。
 このヒントを与えてくれたのは皮肉にも同ホテル元従業員U証人(当時は隣接する系列ホテルの従業員)と同ホテルオーナーであるH証人の口裏合わせをしたかのような偽証であった。
 両証人は口を揃えて「建物入口には屋根は無く、事件当時は降雪があり人の足跡など無かった」と証言をしている。さらにU証人は「建物に入る際、堆く積もった雪を足で蹴散らしてやっと入れた」と聞かれてもいないことを悠長に証言もしていた。
 ところが実況見分調書を作成した当時小千谷警察署刑事課鑑識係酒井証人においては、被告弁護人から同人が作成した調書の写真を示され、「建物出入り口には屋根は存在しますか?」との反対尋問において、「はい、屋根はあります」と証言をした。後日我々が同所を撮影した写真でも車庫を兼ねた構築物が建物出入り口を覆う形となっている状況であることも確認された。
 事件当日午前2時半くらいに従業員S証人が建物から出入りをしており、火災発生はその2時間半後となっており、従業員S及びU証人が火災に気づき建物に入ったのはさらにその30分後であったことから、従業員S証人が建物を出入りしてから次に彼らが同建物に入るまで約3時間という時間経過があることが伺える。
 気象庁、川口支所、小千谷消防川口主張所の気象データから、事件現場おけるこの3時間の間に積もった雪は最大で7cmであったと判明した。つまりU証人は火災に気づいて建物に入る際、足あとは無かったと証言をしている訳であるが、仮に彼らの証言でいうところの屋根は存在していなかったとするならば、3時間前に従業員Sが残した足跡の上に雪が積もるわけであり、雪国の人間であればたかだか7cmの雪では足跡に添って積もるので足跡は消えない事は常識である。
​ 屋根が無いという偽証、そもそも雪など積もる構造ではないのに足跡が無いというもっともらしい偽証をここでは暴く。
​ ただし裁判所の基本スタンスは被害者が嘘を言うわけがなく、被告人は嘘を重ねる、という色眼鏡で公判を進めるので我々の主張は端から聞く耳を持っていない。結果的に被害者らの偽証はどこまでもまかり通ていくお粗末な裁判と成り果てていくのである。

実況見分調書内写真

実況見分調書現場見取図

​事件当時の気象関係データ

​気象庁気象観測所

現場-小出観測所直線距離

​小出観測所及び長岡観測所データ

事件現場-川口支所及び

小千谷消防川口出張所直線距離

川口支所及び小千谷消防川口出張所

観測データ

【考察】
 事件現場付近で気象観測を実施している観測点は存在しない。また1時間毎の詳細な気象観測を記録しているのは現場を中心に気象庁小出観測所及び長岡観測所となる。小出観測所は現場から12Km離れており、長岡観測所に至っては20Km弱も離れている。両観測所の気象データが現場と近似値であるのかを検証しなければ同データを使うことは困難であると考えた。
​ そこで近隣で気象データを観測している場所を探したところ、長岡市役所川口支所及び小千谷消防本部川口出張所において24時間毎の積雪観測をしていることが分かり、同資料を提供願った。
​ 長岡市役所川口支所は現場から直線距離で2.56Km、小千谷消防本部川口出張所は現場からさらに近く直線距離で1.99Kmに位置している。  
 長岡市役所川口支所及び小千谷消防本部川口出張所はそれぞれ午前9時に積雪量を観測して、前日対比で記録をしている。事件発生日である平成24年12月20日において長岡市役所川口支所は32cm、そして小千谷消防本部川口出張所では37cmの積雪を観測している。
​ これと対比すために平成24年12月19日午前9時から翌20日の積雪量から差し引き24時間の積雪データを換算したところ、小出観測所積雪量(105-71=)34cm、長岡観測所積雪量(30-16=)14cmとなり、現場からの直線距離距離、24時間積雪量の観点からも気象庁小出観測所の気象データが現場と近似値であると推認出来ることから、1時間毎の積雪データも現場と小出観測所は近似であると断定される。
​ 

現場-長岡観測所直線距離

2014.12.18 火災発生ホテル従業員通用口積雪状況

【総括】
 上記写真は2014年12月18日、つまり事件発生から大凡同じ日、同じ積雪状況の時に火災ホテル従業員通用口付近を撮影したものである。実況見分調書の写真、見取図と比較して頂きたい。建物、付帯設備、その他事件当時と何一つ変わっていない。
 従業員通用口の上は隣のホテルとを繋ぐ形で車庫の屋根に覆われている。一部切れて若干雪が入るようでもあるが、通用口上には配線、配管が横並びにつながり、事実上の軒先状態となっているし、出入り口直上に軒先も存在している。
 また事件当時も消雪用の融雪水はまかれており通用口前に雪が堆く積もり、足で蹴散らしながら建物に入ったとする元従業員U証人の証言は意図して虚偽に徹している。
 さらにはU証人のあとに証言をしたオーナーHもその虚偽を補完するかの如く、同所に屋根は存在しないと証言をした。
 これに対し鑑識係酒井証人は見分調書の写真を確認した上で、同所には屋根があると証言をしている。
 そして事件発生3時間前(午前2時30分頃)には従業員Sがこの通用口を出入りしており、この3時間後(午前5時30分頃)に積もった積雪量は各気象データから最大で(102-95=)7cmにとどまり、スライド式のドアがたった7cmの雪で開けられなかったとすU証人は明らかにオーナーHに口裏を合わせるように仕込まれていると容易に想像ができる。
​ 彼らの偽証は捜査資料、鑑識係酒井証言、気象データ、2年後の同じ状況での証拠写真も踏まえても明らかである。然し裁判所は酒井証言ではなく、明らかな偽証をしている両名の証言を採用して第三者犯行説を否定する事実認定を行うという暴挙に出たのである。
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